採用選考において面接官は応募者の何を評価しているのでしょうか?
多くの企業では、採用時に面接を実施しています。
面接によって、応募者が採用するにふさわしい人材か否かを判断するためです。
さて、判断において何を見極めるか、事前に決めている場合があります。「目線合わせ」といわれるものです。
目的は、面接官が複数であっても、均質な評価を行うことです。
では、こうした意識的な取り組みはどのくらい効果があるのでしょうか。
実は人の評価には多くの「無意識」が関わっています。
自然界において、それが合っていようが間違っていようが素早い判断が出来ることは生存にとって有利です。危害を与える気が無くても人が近づくと鳥が逃げるように反射的に物事を判断するうえで「意識」は非効率ですから、「無意識」による判断はより本能的であるのでしょう。
こうした「無意識」の判断は、「初頭効果」「親近効果」など様々な認知バイアスとして確認されています。
一方、これら「無意識」の判断は、意識していないがゆえにその存在をヒアリングやインタビュー、アンケートで確認することは不可能です。
しかしながら、評価結果と評価結果を適切に説明できるデータ群を利用すると「無意識」が見えてきます。
こうした評価結果の違いを分析する上では、統計学の検定という手法が便利です。(統計学は前提条件をもった考え方なのでその前提にたって、ではありますが)
そして、「無意識」の判断から見えてくるものを、私は面接官の「仕事バイアス」と読んでいます。
つまり、日頃の仕事で行っている判断、その中でも特に自問している課題が無意識に投影されているのです。
例えば、選考面接における「無意識」を科学したところ、営業担当であれば、見極めには積極的に人に明るく関われているか、であり、キャリアクライシスを迎えている30代であれば、見極めには自分は熱意を持って仕事に向きあえているか、であり、マネジメントの職位であれば、見極めには自分はしっかりと組織を動かせているか、といった課題意識が「無意識」の判断に関わっていました。
これらの「無意識」は、現状での生存においては有利な判断ですから否定するものではないのですが、組織にとって「採用活動」が果すべき重要な役割、「未来に備えて組織を変えるひとつの手段」足り得なくなります。
要するにそのままでは現状強化が続いていくのです。
組織の姿を変えていくには、今までと少しづつ異なる領域を広げていく必要があります。
そのためには、見える化によりコントロール不能な「無意識」の評価の存在を知り、二元論的な人材像(今までに居ない人材、といった)を廃し、短中長期で戦略的に人材開発と従業員のキャリア両方を立体的に構造化したポートフォリオが必要です。
人材戦略は、経営戦略の元にありますから、ある面接官とある応募者の一期一会である選考での「評価」という偶然性を必然性に変えるためには、ビジネス、ストラテジー、サイエンスのBSSトライアングルによって「選考評価」をデザインすると良いでしょう。
ちなみに、グーグルは社員教育に無意識バイアスへの対策を組み込んでいます。
見極め